世界には数々のボードゲームがあり、その多くのゲームにはプロが存在します。チェスや将棋は皆さんもご存じの通り、囲碁や麻雀、日本ではあまり知名度のないバックギャモンでさえも世界にはプロがいるのです。
さて、そんな中で日本で最も馴染みのあるボードゲームの1つと言えばオセロがありますよね?ルールは簡単でも極めるとなるとかなり奥の深いゲームですが、オセロにプロはいるのでしょうか?
答えはとても簡単でオセロにプロは「いません」。これは日本のオセロ公式団体である日本オセロ連盟でもプロがいないことが記されています。
しかしながら、オセロには将棋や囲碁のように王座戦や名人戦、日本選手権そしてなんと世界選手権まで存在しています。将棋や囲碁ほどの規模はないにしろ、ここまでの大会があるのにも関わらずプロが存在しない理由はなんなのでしょうか?その理由を少し見ていきましょう。
オセロのプロがいない理由
競技人口が少ない
オセロは日本人であれば多くの人が遊んだことのあるゲームです。しかしオセロを極めた人となると別の話。ある調査によると日本では6000万人もの人が遊んだことがあるのに対し、競技人口という観点から集計を取るとなんと6000人と一気にその数を減らしてしまうようです。
一方で世界のオセロ競技人口はというと、特に正確な数字を把握しているといった情報が見つかりませんでした。しかし、以前のリバーシとオセロの違いに関する記事で紹介したように、オセロは日本で大きく発展したゲームという側面があり、海外でとても人気なゲームというわけではないという印象があります。そのため、日本の6000人が世界でもメインのプレイ層となるため、日本はおろか世界でもプロ化をするに至らないというようになってしまっていることが考えられます。
十分な賞金がない
先ほどオセロには世界選手権が存在するということを紹介しましたが、優勝賞金などとても気になりますよね。なんといっても世界のチャンピオンになるわけですから、賞金も夢のような金額を想像するかと思います。
しかしながら、世界選手権の賞金は2018年の大会で$5000(日本円で当時約52万円)。決して少ない額ではありませんが、これだけで生活していくのは、とても現実的ではありません。プロとは、その競技で生計を立てていく人のことを指しますので、これではさすがにプロとは言い難いですし、プロになろうという人もなかなか出てきにくい状況です。
ですが、中には将来有望なオセロプレイヤーもいて、2018年大会で優勝した福地啓介くんは、当時なんと小学5年生と、驚きの年齢での快挙でした。こうして次の世代により多くのプレイヤーが出てくることで、プロとしての環境が整えられていくのかもしれませんね。
AIとの関係
これはまさに技術の進歩によるものなのですが、こちらの記事でオセロのソフトのレベルが人間と比べると非常に高く、いわゆるアマチュアの観客からして、プロではなくAIにより価値を見出してしまうというようなことを言及されています。確かにコンピューターが人間と比べ遥かに高いレベルでできることに人間のプロとしての価値を見出すのは難しい側面がありますし、かつそのソフトが誰でも無料で手に入るとなると、ますます人間のプロとしての価値が下がってしまうのも納得できるかもしれません。
まとめ
オセロにプロがいない理由についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
経済的な理由、環境的な理由、AIの発展など、オセロのプロ化にはかなり多くのハードルがあり、実現はかなり難しいように感じてしまったかもしれません。しかしながら、ボードゲームの最大の目的はプロになることやお金を稼ぐことより、ゲームを楽しみ、かつ自分で考えて相手やゲームを攻略していくその達成感にあります。
オセロはそういった意味ではボードゲーム初心者にはとても優しいゲームで、しかも極めるとなると奥の深さも感じさせてくれるので、是非多くの人に試してもらいたいゲームです!