
将棋の対局をテレビ中継などで見ていると、棋士の向こう側に取り仕切っている人たちが見えます。この人達の中には、1)審判そして2)記録係の人がいます。
審判はなんとなく何をする人で、なぜそこにいるのか分かり易いかと思いますが、記録係とはどういった役割があって、どのような人が担当するのか、少し疑問に思うことはありませんか?
今回はそんな記録係の人に関する話です。
記録係の役割とその理由
記録係の人はその名の通り試合の記録をすることがメインの役割となりますが、その他にもとても大事な役割を担っているんです。その役割を以下に挙げています。
- 手の記録:記録係は対局中にプレイヤーが指す手を正確に記録します。これにより、対局後に棋譜を分析したり、将来の研究や指導のために参照できるようにします。また、棋譜は大会結果の報告やメディアへの情報提供にも使われます。
- 時間の管理:記録係は対局者の持ち時間を監視し、残り時間を管理しています。プレイヤーが持ち時間を超えないように注意し、タイムアップした場合は対局者に伝えます。これにより、対局者は時間を気にせずゲームに集中できます。
- ルールの遵守:記録係は対局中にルールが適切に守られていることを確認します。不正行為やルール違反があれば、対局者に指摘し、適切な措置を講じます。これは、公正で正確な対局の実施を保証するためです。
- 問題解決:記録係は対局中に問題が発生した場合、適切な解決策を提案します。例えば、対局者が不明確な手を指した場合や、対局者がルールに関する質問をした場合、記録係は適切な説明や解決策を提供します。
- 対局の進行:記録係は対局の進行を円滑に行います。例えば、対局者がトイレ休憩を取りたい場合など、対局中に発生するさまざまな事情に対応し、適切な対応を行います。
記録係は、対局者が集中して対局に臨める環境を作り、公正で正確な対局が行われることをサポートする役割を果たしています。そのため、記録係は綿密な注意力と正確さ、そして適切なコミュニケーション能力が求められるとても大事な役割なのです。
どんな人が記録係になれるの?
記録係がどのような役割を果たしているか大体は分かったとは思いますが、誰が記録係として選ばれるのか、資格などは必要なのかなど、気になる人もいるのではないでしょうか。とても大事なポジションなので、かなり厳かな雰囲気に感じますが、実際にどうなのか見ていきましょう。
一般的に記録係を担当する人は以下のような要件を満たしている必要があるといわれています。
- 将棋のルールと対局の進行に精通していること:記録係は対局中の手順やルールを理解し、適切に記録するために、将棋の知識が必要です。
- 綿密な注意力と正確さ:記録係は対局中のすべての手を正確に記録する必要があります。したがって、細心の注意を払い、正確な情報を記録する能力が求められます。
- 中立性と公平性:記録係は、どちらのプレイヤーにも公平であることが重要です。そのため、中立的な立場で対局を記録することが求められます。
- コミュニケーションスキル:対局者や他の関係者と円滑にコミュニケーションができることが重要です。記録係は、対局者からの質問に答えることができたり、対局者に対してルールを説明できる能力が求められます。
一般的に、記録係は、将棋界に詳しい人物やアマチュアの将棋愛好家、将棋指導者、またはプロ棋士の見習い(奨励会員)などが担当することが多いです。しかし、基本的に以上の要件を満たしていれば、誰でも記録係になることができます。
将棋の対局には想像以上に多くの人の協力が関わっていることがまた1つ分かりましたね。こういった新しい将棋の見え方というのは、さらに将棋を見ていく上で楽しさを増やしてくれます。是非、周りのお友達にも教えてあげてみてください!