チェスは、日本の将棋と同じルーツを持つと考えられているマインドスポーツの1つで、世界で最も遊ばれているゲームの1つでもあります。もちろんプロの環境も整えられており、世界的な規模で毎年大きな大会が開かれています。
そんなチェスですが、日本でも親しまれている多くのマインドスポーツ(ボードゲーム)のように、称号(タイトル)が存在します。将棋でいうところの名人や竜王、囲碁でいうところの本因坊などです。日本では将棋があるため、チェスについて詳しい方はそこまで多くはないですが、今回はそんなチェスの称号について紹介していきます。
チェスの称号(タイトル)
チェスでは次の称号があり、それぞれ一定の取得方法があります。将棋や囲碁との違いも考えながら見てみると面白いかもしれません!
- グランドマスター (GM):グランドマスターは、国際チェス連盟(FIDE)が認定する最高位の称号です。GMの称号を取得するためには、FIDEレーティングが2500以上であり、国際大会において、3回の*ノーム(基準)を達成する必要があります。現在のところ日本人で達成した人はいませんが、有名なところでいうと、日系のアメリカ人チェスプレイヤーのヒカル・ナカムラ選手がこのタイトルを取得しています。
- インターナショナルマスター (IM):インターナショナルマスターは、グランドマスターに次ぐ称号で、優れた実力を持つ選手に与えられます。IMの称号を取得するためには、FIDEレーティングが2400以上であり、同様に国際大会において、3回のノームを達成する必要があります。
- FIDEマスター (FM):FIDEマスターは、一定の実力を持つ選手に与えられる称号です。FMの称号を取得するためには、FIDEレーティングが2300以上であることが必要です。このタイトルにノームは求められていないため、上記2つのタイトルと比べると容易に取得することができます。
- キャンディデートマスター (CM):キャンディデートマスターは、FIDEが認定する称号で、この中では1番下のランクになります。CMの称号を取得するためには、FIDEレーティングが2200以上であることが必要です。このタイトルの取得にノームは必要ありません。
- 女性専用の称号:女性選手向けには、それぞれの称号に対応した女性専用の称号が存在します。女性専用の称号は、通常の称号に「女性」を意味する「W」を付け加えたもので、例えば女性のグランドマスターは「WGM」(ウィメンズグランドマスター)、女性のインターナショナルマスターは「WIM」(ウィメンズインターナショナルマスター)となります。これらの称号は、一般的に男女共通の称号よりもレーティングの基準がやや低く設定されています。
*ノームとは:ノームはGMとIMのタイトルを取得するために必須の条件になります。かなり詳細にその内容が決められているため、ここでは全てを紹介することはしませんが、例えば自身と異なる国籍を持つグランドマスター3人と過去9戦の中で勝利することや、ジュニア世界選手権で優勝していることなどが条件としてあげられます。2021年までのものになりますがFIDEのハンドブックでその詳細を確認できるため、興味がある方は是非、参考までに読んでみてください!
これが一通りのチェスのタイトルとその取得方法になります。将棋や囲碁のようにタイトル戦があって、そのタイトルがそのまま称号として使われるのではなく、ポイントやノームと言った条件をクリアすることが必須となっています。また、1度獲得したタイトルは生涯名乗ることができるため、タイトルの防衛といったこともありません。(もちろん、チェス世界選手権の前年度チャンピオンなどといったタイトルもありますが)
チェスはなんといっても世界中で遊ばれているゲームです。なのでチェスで獲得したタイトルというのは、世界中どこに行ってもそれなりの価値の認知度があります。海外の人と交流を深めるためにもとても便利なゲームなので、どうせ始めるならタイトルの獲得を目指してみてはいかがでしょうか?